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加東 岳史。 最近、涙もろくなった乙女座O型。 素敵なLove Storyを皆様にお届けします。 何をやっている人かと言うと、(1)役者 (2)脚本家 (3)演出家 (4)劇団代表 (5)小説家 (6)DJ (7)秘密 と、イロイロな顔を持ってます。
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第12話 ミカの事(3)

その「川村くん」の部屋はこざっぱりとしていた。
入って奥にベッド、ベッドの上の棚にはマンガ雑誌が整然と並べられたカラーボックス、変な形のCDプレイヤーがある。
入ってすぐの壁際にはパソコンが一台、見た目は古そうだけど大吾曰く
「恵一の性格上見た目にこだわらないんだよ、中身は自分で改造してんじゃねえの?」
との事、パソコンの横には簡素な部屋の中で唯一の装飾とも言える「メトロポリス」のポスターが貼ってある。
ちゃぶ台があって、ベットの反対側には大きめの液晶テレビ、テレビ台の下の段にはDVDレコーダー、そしてテレビゲームとソフトがぎっしりとつめられていた。
奥はベランダになっていて、二階からの景色は広めのコーポ高橋の庭が良く見える。
玄関の横手には小さいけど使い勝手の良さそうなキッチンがあって、その横にはトイレとお風呂場、なんとユニットバスではない、風呂トイレ別のしっかりしたお風呂だった。

そしてまずなんと言っても部屋が広い、「コーポ高橋」という名前で入り口は完全に下宿みたいな門構え、おもてを一見しただけではどう見ても風呂無しトイレ共同の板がギシギシなりそうな安アパートなのだ。
ざっと見渡してもこの部屋は12畳以上はある、普通に過ごしやすい素敵なワンルームだ。

「な?小奇麗だし広いだろ?だからみんなここに集まるんだよ」
「にしてもこれ凄いよ、誰が見たってここで住みたいって思っちゃうよ?家賃高いのかな」
「いや、安いって言ってた、何しろ学生の頃から引っ越してないからな、6万とかそんくらいじゃねえか?」
「ありえない!それはありえないよ!大吾の部屋いくらだっけ?」
「9万8千円、ユニットバスの2DKだよ、わかってんだろ?」
大吾の部屋はここと対極だ、汚い、とにかく汚い。
部屋を掃除する気はあるらしいのだが、日々の忙しさにその気持ちも負けてしまうのだろう。洗濯機を回すのも週に多くて二回、掃除機は月二回あればいいほうだ。
かろうじて最後の理性でゴミ袋だらけのごみ屋敷にしていないだけマシな方なのかもしれないが。

「恵一の家もかわらねえなぁ、テレビが液晶薄型になったくらいか、あいつも稼いでるんだな」
「本当に良くつるんでたんだね」
「そりゃそうだよ!毎日学校で顔合わせて、終わりゃバイト以外では大体一緒さ」
「いいなぁそういうの、私にはそういう友達もいないからね」
「なんだよ、妬いてるのか?ミカ」

妬いてるわけじゃない、本心を言ってるだけだ。
私はどこまで言っても平井大吾の影でしかない、そこから出る事は出来ない。
それが悔しいわけでも悲しいわけでもないけれど、思い出を共感したり、語り合ったり、喧嘩したり、そういう事がしてみたい、ただの我が儘だけど。

「冗談言わないでよ、いいわよ、お邪魔はしないから、君にもそういう休息、必要だもんね」
そういって私は踵を返してドアに向かう、後ろから大吾の声が聞こえるけど無視する。
本当に邪魔はしたくない、だって大吾のことを愛しているから、わたしは大吾の彼女だから、今は思い出の中で楽しんで欲しいって思う。
このドアを出れば私はつかの間居なくなる、それは大吾が望んでいるから?
私がそうしたいから?
このドアを出たら私はどこにいくんだろう?
でも振り返らない、いつも私はそうだから。

瞼を閉じながら、私はドアのノブを握る。


To be continued…