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加東 岳史。 最近、涙もろくなった乙女座O型。 素敵なLove Storyを皆様にお届けします。 何をやっている人かと言うと、(1)役者 (2)脚本家 (3)演出家 (4)劇団代表 (5)小説家 (6)DJ (7)秘密 と、イロイロな顔を持ってます。
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第11話 モモの事(3)

モモのいやーな予感的中です!

たっくんの新しい仕事のお相手さんが、あの電車の黒髪美人さんだなんて!
都合よすぎです!
マンガとか小説じゃないんだから、そんなにうまくいくはずないのです!
…でも、こうやってたっくんの目の前に現れちゃったからには、もうどうしょうもないのです。
たっくんはドギマギしながらお仕事の話を進めています、
ほんとにわかりやすいんだから!
黒髪美人さんは…ゆかこさんって言ってたかな、たっくんの様子を見ないようにしてお仕事の話しています、ゆかこさんのほうが大人だー

「さて、それじゃあ小枝の事よろしくお願いします宮島さん、こいつ名前どおりで小枝みたいにすぐポキっと折れちまうんで」
「先輩勘弁してくださいよ、あー…本当によろしくお願いします」
「こちらこそお願いします…えっと、一応連絡先を…」
「あぁ、そうですね、赤外線できます?」
二人とも携帯電話出して、アドレスの交換とかしだしちゃいました、さっき名刺交換したじゃん!
用事があるなら会社のパソコンにメール送ったりすればいいじゃん!
むう…モモはちょっと卑屈さんになってしまったようです、こういう気持ちになると、たっくんのちょっとしたことでも気になって仕方なくなります。
全然たいしたことないのに凄い気になっちゃうんです、お話してて返事がそっけなかったり、目を見てくれなかったり、たっくんだって忙しいし、疲れてたらモモとお話するよりお風呂入って、ご飯食べて早く寝たほうがいいってわかってるのに、たっくんがモモをキライになることも、モモがたっくんから離れることだってないってわかってるのに、信じてるのに、凄く凄く信じてるのに、モモにはたっくんしか無いのに、たっくんが少し目線をそらすだけで、モモはいらない子って言われてる気がするんです。

お仕事を終わらせて、おうちへの帰り道でもモモはたっくんに声をかけませんでした。
たっくんはいつもどおりゲームしながら電車に乗ってます、いつもは画面見てるだけで楽しいのに、そんな気も起きませんでした、変なの。

「あ、やっぱりいらっしゃった!」
横から不意に声をかけられたたっくんは、驚いた顔して画面から目を離しました、立ってました、ゆかこさんでした。
「あれ…?宮島さん、なんで?」
「だって電車同じじゃないですか、ひょっとしたらって思って、こないだと同じこの車両に来てみたんです」
言った後にゆかこさんは恥ずかしそうにうつむきました、そうですよね、思いっきり泣いてる所、見られた場所ですもんね。
「…あ、お隣どうですか?」
「はい、失礼します」
ゆかこさんはたっくんの横にちょこんと座りました、たっくんも男の子としてはそんなに大きいほうではないけど、ゆかこさんはかなりちっちゃいです、モモより5センチ以上小さいんじゃないかな、150センチあるかな?って感じです、足も細いし…モモよりスタイルいいかも。
「先日は、あの、失礼しました」
「え!?あぁ、いや、気にしないで下さい、ちょっとびっくりしましたけど」
嘘つき、凄い気にしてたくせに、そりゃあんな状況だったら気にしないほうがおかしいとは思うけどね、たっくんは本当に女の子に接するのが下手だぁ。

電車はこないだみたいに終電じゃなかったから、それなりに混んでて、扉に近い所に並んで座った二人は少し狭そうに座ってお話してます、モモはその横で立ちながらお話を聞いてました、たっくんはモモの事気にしないようにしてました、わざとモモの方見ないようにしてるんだもん。
「あの日は最悪の一日だったんです」
「え?」
「小枝さんとお会いしたあの日は最悪だったんです、朝は電車で痴漢にあって、会社では凡ミス連発して、結局仕事終わらなかったんで自宅に資料持ち帰りになって、彼氏にもふられるし」
「そうですか…って、はぁ?」
「一日嫌なことばっかりで、でも最後に彼氏にあって帳消しできるかなって思ってたんです、でもふられちゃった、だから最低の一日」

なんで?何でそんなこと、今たっくんに言うの?
ゆかこさん何がしたいの?

「…なんで、そんな事になったんですか?」
「単純ですよ、私より好きな人ができたんですって、もっと明るくて、派手で、可愛い子」
「…聞いちゃってすいませんでした」
「いいんですよ、あたしも変ですから、今日始めてお話した人に、こんなことお話ししちゃってるんですから」
「僕に何か出来るわけじゃないですから…」
「そんなこと無いですよ、小枝さんだけだったんです」
「何が、ですか?」
「本当に最悪の一日で、あの日、私に優しくしてくれたのは小枝さんだけだったんです」


To be continued…  

第7話 モモの事(2)

モモです、どこまで話しましたっけ?
あ、そうだ、電車ヨシヨシ事件までですね。
モモびっくりしちゃって、知らない人ヨシヨシしたたっくんの事凄くイラっとしたんですけどぉ、よくわからないんですけど、その場で怒れなかったんですよね。

なんで怒れなかったんだろう?

美人さんはたっくんのヨシヨシで少し落ち着いて、自分で降りる駅に付いたらペコッ、と頭を下げて帰っていきました。
たっくんは駅についておうちまでの道も、おうちについてからもなんだかぽわーっとしてて上の空です。
さっきはなんだかモモも怒れなかったんですけど、ぽわーっとしてるたっくんを見てたらまた怒りがわきあがってきちゃって。

「たっくん!モモのお話聞いて!たっくんったら!」
「あぁ!ごめん、ごめんねモモちゃん」
「たっくん、あの美人さんの事考えてたでしょ?」
「…そんなことないよ」
「うそつきうそつきーっ!モモはたっくんの考えてる事はなーんでもわかるの!」

これは嘘です。なんでもわかるわけじゃないんですよ。
なーんとなくってのはあるんですけど、なんでもかんでもわかっちゃうわけじゃないんです。
でもこの日のたっくんは誰が見たってあの美人さんの事考えてるんだなぁ、ってのはわかっちゃいますよ!

「…ごめん」
「ごめんですめばおまわりさんいらないの!」
「モモちゃんそんな事言わないでよ!本当、ごめん!」

って言ってたっくんはモモに土下座のまねして謝ってきました。
うーん、まだイライラしてたけど、たっくんが謝ってくれるなら、まぁいいかーって思ったんですよね。
だから許しちゃいました。モモも甘いなぁ~


たっくんは次の日も朝早くからお仕事です。
たっくんのいる所にはモモはどこにでもついていきます。
たっくんはできる限りモモに傍にいてもらいたいみたいで、たっくんの行く所には必ずモモがいるんですよ!だからたっくんが朝早起きでお仕事の時はモモも早起きです。
眠たくてムニャムニャしますけど、たっくんのためだから頑張れるんですよ~!

会社に着いたらたっくんは早速先輩からお外に営業に行ってくるように言われました。
なんだかよくわからなかったんですけど。

「小枝ぁ、俺の担当の対馬エンジニア&サービスさん、お前に引き継ぐからついてこいや」
「え、先輩、いいんですか?」
「しょうがねえだろう、お前の成績今のままだったらまた部長にどやされるぞ?俺は新規2件担当する事になったから対馬さんお前に任すわ、先方さんも良い方だし、ここでしっかり経験つんでおけよ!」
「はい!すんません先輩、ありがとうございます…」

なんだかお仕事させてもらえるみたいです。
たっくんが嬉しそうだからモモもウキウキ!だったんです…

電車に乗って少したつと、目的の会社が見えてきました。
たっくんは思ってたより大きな会社じゃなかったので少し安心したみたいです。

先輩さんが受付をして担当さんのいるフロアまで行きました。

「担当の宮島さん、結構美人だからな、下手に手出すなよ」
「ちょっと先輩、何言ってんですか勘弁してくださいよ」
「まぁ美人だけどちっと暗い雰囲気なのがあれだな、お前にはちょうどいいんじゃねえの?」
「先輩、俺一応彼女いますから」

そうですそうです、たっくんにはモモというれっきとした彼女がいるのです!
えらいぞたっくん

「お前結構彼女自慢するよな、今度一回写真でも見せろよ…お?いらっしゃった」
「お待たせしましてすいません日高さん、あ、ワタクシ担当をさせていただいてます…?」
「あ、あれ?あああ」

なんというか、ヤな予感はしていたんですよ。
恋の神様っていうのかなぁ?そういうのがいるならこういうタイミングで嫌がらせしてくるんですよね。
だいたい恋の神様っていうのは幸せになりたい人と今幸せな人にはあんまり力を貸してくれなくて、もうちょっとで幸せになるんじゃないかな?って人にばっかり力を貸すんですよね。
あんまりパワーいらないからなのかな?なまけ者なのかな?

たっくんの新しい担当の人は、そうです、みなさんお分かりのようにあの黒髪美人さんでした。

「…どした?小枝?」
「なんでもないっす!あの、小枝崇です!」
「…対馬エンジニア&サービスの…宮島友佳子です」


To be continued…  

第3話 モモの事(1)

モモです!えっと、何を話せばいいのかな?
えっ?たっくんの事ですかぁ?はぁい!それならたくさんおしゃべりできますよ~!
たっくんは、本名は小枝崇くんって言って、25歳です!
お仕事は、なんかコピー機とか、ファックスとかをおっきな会社に売ったり貸したりするお仕事みたいです、でもなかなか買ってもらえないみたいで…
お仕事ってなんでも大変ですね!
モモ?
モモはぁ、たっくんの彼女ですよ!もう毎日ラブラブなんです!
…って言いたいところなんですけど、昨日ちょっとした事件があったんですよ…

たっくんは凄い物知りで、モモにいろんな事教えてくれたりするんですけどぉ、昨日は凄く会社でミスしちゃったみたいで…偉い人に凄く怒られて、帰りも終電だったんです。
たっくんは会社とかでつらい事とかあると、いつもの元気がしゅーんって無くなっちゃうんです。
そんな時こそモモの出番です!
優しく隣でヨシヨーシってしてあげたり、たっくんのお話聞いてあげたりするんですよ!
たっくん、終電の人もあんまり乗ってない電車の中でうなだれてため息ついてるから、モモ隣に座ってヨシヨシしてあげてたんです。

「俺、本当に何やっても駄目だよなぁ、折角一件契約取れたと思ったら、あんな単純な伝票ミスとかさ…自分で自分が信じられないよ」
「うーん、ちょっと調子悪かっただけだよ!たっくんがすごーい人だってのはモモが一番よく知ってるよ?」
「いや…モモはそう言ってくれるけどさ」
「だって今やってるパソコンのゲームだって、みんなたっくんの事凄いですね!パーティ組んでくださいって言ってきてるじゃない、たっくんより凄い人みたことないもん」
「それはゲームの中の話だろ…」
ゲームだって何だってモモから見て凄い!って思ったんだからそれでいいと思うんだけど、たっくんは昨日は本当に落ち込んでたみたいで、何言っても元気になってくれなかったんです。

そんな会話をしてるうちに電車の車両は私とたっくん、後は端っこの席で寝てるおじさんだけになっちゃいました。
「ねえねえたっくん、帰ったらさ、もう遅いけど一緒にお風呂入ろう!」
「うん…」
電車がモモたちのおうちの最寄り駅の5個手前に止まったとき
(モモたちのおうちは埼玉って所のはしっこよりなんで、電車で帰るのに1時間以上かかるんです)
女の人が乗ってきました、小柄で、ショートボブの似合う眼鏡の美人さん。
髪の色は黒で、凄く綺麗な髪の毛。
リクルートスーツって言うのかな?紺色のスーツを着て、両手で体に似合わない少し大きめな鞄をかかえてました。
それ以上にモモがびっくりしたのは、その凄く美人さんが、泣いてたこと。

電車はモモとたっくんと寝てるおじさんだけだから、どこだって座り放題なのに、その美人さんは座らないで立ってたんです、扉にもたれて、泣きながら。
「…なんで泣いてるんだろう」
「たっくん!気になるのはわかるけど、浮気ダメ!」
「浮気じゃないよ、誤解するなって」
その時電車がガクン!ってゆれました、カーブにさしかかってたのかな?
美人さんはバランスを崩して鞄を落としてしまったんです、落ちた鞄からはバサーッって書類とかノートとかが飛び散っちゃいました。
美人さんは慌てて拾おうとして、またバランスを崩して転びそうになりました。

その時、たっくんがすっと立ち上がって、電車にちらばった書類を拾うのを手伝いだしたんです。
モモ?そりゃあモモだってお手伝いしたかったですよ、本当です!
でもモモはそういうものには触れませんから、触ろうとしてもダメなんですよ。

「あ…あの、ごめんなさい、すいません」
美人さんは少しだけ驚いた顔して慌てて自分も書類とかノートとか拾い出しました。
でも、たっくんの方が少し手際がよくて、沢山拾って美人さんに手渡しました。

「大丈夫ですか?」
「あ、はい、申し訳ありませんでした」
「…あの」
「はい?」
「…何か、よく分からないんですけど」
「はぁ…」
「…元気、出してくださいね」

たっくんが何言い出したのか最初モモはわからなかったです、でもきっと、たっくんは自分も凄く落ち込んでたから、モモが居なかったら独りで泣いちゃいそうだったから、美人さんの気持ちが少しだけわかったのかもしれません。
事件なのはこの後なんです。

「…え?」
「いや、あの、すいません、変なこと言って、あのぉ…泣いてらっしゃったから」
「…」
「だから、元気出してください、すいません知らない方にこんな事言って…」

そうしたら美人さんの目から一度は治まった涙がポロポロポロ沢山溢れてきて。
止められなくなって、ヒックヒック言い出して、最後は声をあげて泣き出しちゃったんです。
「え!あの…ごめんなさいごめんなさい!」
「ひっく…ごめんなさい…うぅ…ごめ…んなさい」

変なの、二人でごめんなさいって言い合ってる、でもそれ以上になんでたっくんの前で泣き出すの?
たっくんに優しい言葉かけてもらえるのはモモだけなのにぃ!
美人さんはその後も全然泣き止まないで、次がたっくんの降りる駅だって所まできちゃいました。
たっくんはその間ずっと泣いてる美人さんを見てるだけ。
そしたら、たっくん急に美人さんの頭をなでたんです。
いっつもモモがたっくんにやってあげるのと同じしぐさで。
よしよーし、って、モモだけがたっくんにしてあげるのと同じしぐさで。


To be continued…